【過去問分析】一級建築士設計製図試験|H27年「デイサービス付き高齢者住宅」
こんにちは、でぶリーマンです。
初めて学科試験に合格したのが平成27年(2015年)、今から9年前。
2024年今日に至るまで2回も製図試験の角番落ちを経験し、3回も学科試験に合格しています。
一級建築士の試験に相当苦戦しております。
っということで初心にかえって、製図試験初年度に受けた本試験課題を9年ぶりに解いてみようと思います。
焦りは禁物!課題文の読み取り
製図試験初受験の際は、緊張のあまり自分の名前を書くだけでもシャーペンの芯を3回へし折るほど、手が震えまくっていました。
そんな状況でまともに課題文を読み込めるわけもなく、初年度の製図試験はプレッシャーに飲まれたまま6時間半が過ぎ、条件違反を犯して「ランクⅢ」。
シンプルなアドバイスですが、落ち着いて課題文を読みましょう。
会場の空気に飲まれず、設計課題の内容にも動揺せず。
本番当日はどんな出題でもまずは慌てず落ち着いてじっくり課題文を読み取りましょう。
っということでまずは設計条件の読み取りから。
設計条件|施主の想い
設計条件に書かれている内容は計画する施設の大前提です。
「こんな施設を計画してね」に応えるのが建築士の試験で、3LDKの要望に対して5LDKを提案したら落ちてしまうのが建築士試験です。
一級建築士試験の施主は試験元。H27年の試験元の要望は、
にぎやかな商店街と公園等の一角に建つ~(中略)~
地域住民も利用できるレストラン等を設け、地域住民と居住者とが交流できるようにする。
地域住民含めいろんな人に施設を使ってほしい、というのが試験元のご希望のようです。
設計条件を頭に入れた上で敷地図を見て以下のポイントをチェック。
・2面道路で幅員の広い歩道付き北側道路(幅員18m)+歩道のない東側道路(幅員8m)→利用者のアプローチは北側・サービスアプローチは東側?
・商店街は北側及び東側→地域住民の利用の手がかりになりそう?
・西側・東側は公園と隣接→人が集まる室を配置すると良さそう?
というのを何となく頭に入れつつ次に進みます。
要求室の特記事項に注目
言わずもがな、課題文の要求をすべて満たせば製図試験は合格します。
でもそれが非常に難しい。
意外と落としがちなのが特記事項の内容です。
条件Aをクリアさせようとしていたら条件Bが合致していなかった。
数ある諸条件を考えていたら意外と漏れが生じることはあるあるです。製図試験当日までの練習で必ず一度は経験すると思います。
そこで2つの対策を。
- 課題文のマーカーの仕方を工夫
- エスキス用紙に条件を抽出
ということを前提に、要求室で計画に直結する部分を抽出します。
まずは冒頭から
レストラン及びギャラリーについては、商店街との連続性を配慮するとともに、エントランスホールからの動線を考慮した計画とする。
ボクは本試験で「商店街の連続性」を読み落として、見事に真反対の位置に計画してしまいました。
その他の要求室の特記事項は、
機能訓練室
→パントリー、小荷物専用昇降機を設けてもよい。
エントランスホール
→まとまったスペースの吹抜け(約100㎡)を設けるとともに、自然採光を確保する。住宅部門とデイサービス部門との共用とする。また、夜間においては、デイサービス部門に入れないように計画する。
レストラン
→地域住民も利用できるものとする。食事はレストランの厨房で調理する。
施設管理室
→施設全体の管理を行う。
標準解答例の考察
これら諸条件を基に試験元の模範解答を見てみます。
レストラン及びギャラリーについては、商店街との連続性を配慮するとともに、エントランスホールからの動線を考慮した計画とする。
模範解答は、
レストラン・ギャラリーとも商店街が面する東道路側に計画し、東側道路から2部屋にそれぞれ直接アクセスできるようにしています。
2面道路であれば幅員の広い方は利用者アプローチ、幅員の狭い方をサービスアプローチとすること。
っと学ぶと思いますが、標準解答例の2パターンとも北側道路に利用者・管理者のアプローチを計画しているので、道路だけでアプローチを決め打つのは注意が必要ですね。
利用者動線とサービス動線が交差しないように、2面道路の際は、幅員広い方を利用者・幅員の狭い方を管理者とするのが基本と教わりますので、資格学校に通ってる人にとってこれは意外。
機能訓練室:パントリー、小荷物専用昇降機を設けてもよい。
レストラン:地域住民も利用できるものとする。食事はレストランの厨房で調理する。
ここの模範解答は、
レストランは1階に、室面積とゾーニングの都合上で機能訓練室は2階に配置しています。そうなるとレストランの厨房でつくった料理を機能訓練室に運ぶための小荷物専用昇降機を設けるのが望ましそうです。
「設けても良い≒設けるもの」
と考えた方が良いのかもしれません。
今考えるとH27年の本試験は、この特記事項に注意して計画すれば合格レベルになったんじゃないかと思います。
この頃はまだ延焼ラインとか防火区画とか今ほど厳しくない時代でしたが、だんだん難しい試験になってきましたね。
H27年の課題を解いてみた|2024年現在の実力
製図試験7期生とは思えない内容で、今年も厳しい戦いになりそうです。
とりあえずボクの実力はこんな感じです。
もし過去問対策でH27年の課題を解いた方は、コメントいただけると幸いです。
それではまた。