居室の採光・採光補正係数を詳しく解説
こんにちは、でぶリーマンです。
建築基準法令等の法規は建築物に関する最低基準を定めたもので、法令違反となる計画は大きな減点の対象となるようです。
大手資格学校では法令違反の計画は即ランクⅣと判定されます。法令遵守なくして一級建築士試験に合格なし、と言えるくらい法令遵守は大事なことと習います。
今回は建築基準法令のうちの「採光」について勉強したことを記していきます。
私はこれまで一級建築士の製図試験に2回も角番落ちしているポンコツ受験生です。
- 2015年→学科試験合格(N学院)・製図ランクⅡ
- 2016年→製図 ランクⅢ
- 2017年→製図 ランクⅢ 1回目の角番落ち
- 2018年→学科試験合格(独学)・製図ランクⅢ
- 2019年→製図 ランクⅢ
- 2020年→製図 ランクⅢ 2回目の角番落ち
- 2023年→学科試験(独学) 2点足らずで不合格
- 2024年→学科試験(独学) 合格
居室の採光
「建築基準法28条1項」の条文を見ると、
政令で定める建築物の居室には、採光のための開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、政令で定める割合以上としなければいけません。

地下などに設ける居室・温湿度調整を必要とする作業室・暗室など用途上やむを得ない居室、これらは採光のための開口部を設けなくてもOKです。
採光を必要とする居室の種類と割合
| 建築物の用途 | 居室の種類 | 必要採光面積 |
|---|---|---|
| ① 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、幼保連携型認定子ども園 | 教室 | 居室面積の1/5 |
| ① 保育所、幼保連携型認定こども園 | 保育室 | 居室面積の1/5 |
| ② 住宅 | 居室(リビング・寝室等) | 居室面積の1/7 |
| ② 病院、診療所 | 病室 | 居室面積の1/7 |
| ② 寄宿舎または下宿 | 寝室または宿泊室 | 居室面積の1/7 |
| ② 児童福祉施設等(保育所のぞく) | 寝室または保育、訓練、日常生活等の使用室 | 居室面積の1/7 |
| ③ ①に掲げる学校以外の学校 | 教室 | 居室面積の1/10 |
| ③ 病院、診療所、児童福祉施設等 | 談話室、娯楽室等 | 居室面積の1/10 |

製図試験では、無窓の居室とならないように計画すれば、それぞれの居室から直通階段までの歩行距離の限度が厳しく制限されず、避難計画にゆとりがもてます。
注意しなければいけないのは、窓の面積ではなく採光に有効な部分の面積(採光有効面積)が居室床面積×1/5〜1/10である必要がありますので、掘り下げて解説します。
採光有効面積=開口部面積×採光補正係数
まず一旦、建築基準法施行令20条の条文を確認します。
採光に有効な部分の面積は、当該居室の開口部ごとの面積に、それぞれ採光補正係数を乗じて得た面積を合計して算定するものとする。
仮に採光補正係数が「1」なら採光有効面積は開口部全体が採光に有効な部分の面積となります。
もし採光補正係数が「1以下」なら採光有効面積は開口部面積よりも小さい値となり、採光補正係数が「0」になる場合、採光有効面積は「ゼロ」です。
窓があっても建築基準法上は無窓の居室となります。
採光補正係数・・・とても重要ですね。
採光補正係数の算定方法

採光補正係数は、用途地域等の区分に応じて、以下の表の算定式で計算します。
| 地域・地区 | 算定式 | |
| 住居系 | 低層・中高層・住居・田園住居 | (6×d/h)-1.4 |
| 工業系 | 準工業・工業・工業専用 | (8×d/h)-1 |
| 商業・その他 | 近隣商業・商業・指定なし | (10×d/h)-1 |
d:水平距離 →開口部の直上にある建築物の部分と、隣地境界線等までの水平距離
h:垂直距離 →開口部の直上にある建築物の部分から開口部の中心までの垂直距離
「d/h」を採光関係比率と呼びます。
- 天窓がある場合、採光補正係数は計算した数値の3倍とする。
- 開口部の外側に90cm以上の縁側がある場合、採光補正係数は計算した数値の0.7倍とする。(濡れ縁を除く)
- 採光補正係数が3.0を超えるときは3.0を限度とする。
- 開口部が道路、公園等に面する場合、建築物と隣地境界線までの水平距離を緩和することができる。(道路は反対側境界に、公園等は幅の1/2外側になる。)
仮に、前面道路の幅員が4m・建築物の離れが3mの場合だと「d」は7mになります。

あくまで外壁の離れです。
もし建築物(柱800mm角)の通り芯が3mであれば、
3,000-400=2,600 「d」は2.6mになります。
高層建築物の低層階は要注意|採光補正係数ゼロ
採光関係比率(d/h)の「d」敷地までの水平距離になるので、どの階も一定の値になります。
「h」は開口部中心までの距離になりますので、階数によって値は変わってきます。
言い換えると、階数によって採光関係比率が変わります。
住居系で建物離れを建物芯で3mとした場合、柱が800mm角と考えると、水平距離は(3−0.4)で2.6m。
パラペット天端が0.6m、開口部中心までの距離がその階の床から1.5mとして、階高4mの構成にするとd/hの関係は下の画像になります。

仮に4階建ての2階の採光関係比率d/hは、2.6/(0.6+4.0+4.0+4.0-1.5)となり、
2.6/11.1=0.234
採光関係比率は0.234になりますので、開口部面積の1/4にも満たない有効開口面積になります。

「h」を小さくすると採光補正係数が大きくなるので、開口部はできるだけ高い位置に描くのが良いね!
採光有効面積と採光補正係数|まとめ
まとめると、
大学の用途における採光有効面積は床面積の1/10以上
採光有効面積=開口部面積×採光補正係数
採光補正係数の求め方
- 住居系 (6×d/h)-1.4
- 工業系 (8×d/h)-1
- 商業系、他 (10×d/h)-1
採光補正係数が1なら、開口部面積=採光有効面積
3を超える→採光補正係数=3.0
となります。
以上、でぶリーマン調べでした。

