【エスキス・再現図あり】2025年一級建築士設計製図試験の振り返り

私は一級建築士製図試験を実に8回受験し、ようやく8回目にして合格することができました。
「合格発表のたびに、『また来年か』という思いが何度も頭をよぎりました。
そのたびに悔しさ、情けなさ、自分への失望という感情が積み重なっていきました。
正直、試験元から『ダメ人間』とレッテルを貼られたような気持ちになったこともありました。」
それでも諦めきれずに挑戦を続けて、8回目の合格を勝ち取りました。
苦労を重ねて合格した私が、これから製図試験を受験される方の何かしらお役立てになればと思い、2025年の本試験課題の振り返りをしたいと思います。
課題文の読み取りやエスキスの手順も含め、「その瞬間に何を考えていたのか」「どこで迷い、どう決断したのか」といった部分もありのままに書いていきます。
「これでも受かるんだ」というレベルで多くのミスをしていますが、それでも合格することができました。
マーキングやエスキス手順はあくまで私のやり方ですが、これから初めて製図試験を受ける方。私と同じように何度も悔しい思いをしている方の、少しでも支えやヒントになれば幸いです。
- 課題文マーキング方法
- エスキス
- 1/400
- 復元図
- 本試験でのミス
条件ミスを防ぐマーキング術
2025年の一級建築士設計製図試験の課題は「庁舎」
庁舎ってなんぞや?っというところから試験対策が始まりました。最近は漠然としたテーマになっている印象です。
本題に戻りまして、まず初めに重要なのが課題文の読み取り・・・というよりもマーキングです。
課題文で読み落とさないための秘訣|4色マーキング
試験中は何度も課題文を見返すことになり、そのたびに全文を追っていては時間がいくらあっても足りません。
マーキングをしておかないと、条件を探すだけで余計に時間を取られてしまい、エスキスや作図に集中できなくなることもあります。
なので私は、必要な時に見返しやすくするために試験開始直後は読み取りよりも、むしろマーキングの方が大事と思っています。
そのマーキング方法、多くの受験生は1色又は2色で色分けする方が多いようですが私は4色使って課題文にマーキングを行っています。

マーカーを持ち替える時間がもったいなくない?
せいぜい2色で十分じゃない?
という声が聞こえてきそうですが・・・4色マーキングをする理由は読み落としor条件違反を防げるという理由からです。
2025年本試験で実際に私がマーキングしていた課題文がこちら。

青は動線指定・階指定などのエスキス初期から終盤まで絶対に外せない重要事項をチェックしています。
ピンクは、上記以外で重要なポイント・記述に使えそうな文言。
黄色は数値関係で、オレンジは作図中に記さなければいけない什器
このようにして4種類に分けることで、どこにどんな情報が書かれているかを色を使って視覚的に瞬時に判断できるようになります。

4色マーキングにしてから条件ミスが少なくなったので、ボク的にはオススメです。
そんなミスをしなければ、色分け少ない方がペンを持ち替える手間が省けるので良いと思います。
読み落とし、条件違反をした経験がある方は試してみていただきたいです。
- 黄:数字(面積・台数など)
- 青:重要事項(動線・条件指定)
- 橙:作図に必要な情報(受付・カウンター・机・椅子など)
- 赤:上記に該当しないけど重要なポイント(記述にも使えそうなワード)
課題文は何回も読み返すことになるので、マーキングの手間を惜しむよりも、パッと見で分かりやすいのが大事と思います。
とはいえ、4色使ったからと言って絶対読み落とししないわけではありません。
本試験中の私のミスを次に記します。
2025年課題文の右半分は、要求図書と計画の要点等についての記載がされていました。
東ー西断面図、「切断位置は、東西方向とし、議場を含み、立体構成が分かる断面とする。(以下省略)」
ここで切断位置を間違えないようにとマーキングしています。
それと今年の課題文にはひっそりと重要なことが書かれていました。
「高さ制限への適合が確認できる情報。(道路・隣地斜線・最小後退距離・計算式等)」
問題はここです。

準住居地域の隣地斜線制限が抵触するのは最低でも20mから、3階建の階指定で仮に全部の階高を6mだとしても抵触することはなさそう。
ということで、読み取り時にはスルーしていました。
ですが、隣地斜線に抵触しないことが明らかであってもそれを確認できる情報を記載することが求められていますので、作図時に隣地斜線についての情報(計算式等)を書いていない人は、ことごとく落ちたそうです。

読み取り、エスキス段階では、サラッと読み飛ばしていました。
読んでいる最中に重要と感じていなければ、そもそもマーキングをすることがないので注意が必要です。
ちなみに私は、なんとなく頭の片隅にこの文言が残っていたので、作図開始時に「本建築物の高さは20mを超えないので隣地斜線制限に抵触しない」と記載しました。
でもきっと、計算式を書いておいた方が無難と思います。
絶対外せない条件|本試験での読み取りポイント
私は本試験で、絶対外せない条件を次のようにマーキングしました。
青:絶対外せない条件
- 住民に親しまれている公園に隣接
- 住民交流スペースを有する地方公共団体の庁舎
- 駐車場:来庁者用は敷地周辺にある公共駐車場を利用
- 駐輪場:公共駐車場に併設された駐輪場を利用
- 議場:3階、無柱空間
- 書庫:事務室のある全ての階
- 大会議室:3室以上に分割可
- 住民交流スペース:土日祝日も利用可能な計画・公園との関連性・交流のための〜
- カフェ:炊き出しなどに利用できる計画
- 守衛室:夜間、土日祝日に各種書類の預かり業務も行う

青くマーキングしたところで、計画の方向性がぼんやり見えてくる気がしませんか?
本番中は書き出せるほど余裕はなく、実際は課題文を読みながらエスキス・読みながらエスキス。という感じになると思います。
その時に視覚的に分かりやすいといち早く欲しい情報に辿り着けます。
私のマーキングした課題文を、次は小さい画像でご覧くださいませ。絶対外せない条件がどこに書いている分かりやすいですよね、、?

手書き実例で分かる!エスキスの進め方
配置計画は課題文の敷地図を使って検討するので、エスキス用紙は既に外部の計画は大まかに終えた状態になっています。
A-2サイズのエスキス用紙を半分に折って、最初は左側を使って検討していきます。
こちらが、本試験での私のエスキス用紙です。

私のエスキス手順①|情報を書いてみる
まずエスキス用紙の端っこに、なんとなく自分的に大事なワードを並べてみます。
あまり時間を掛けたくないのでサラッと。

私のエスキス手順②|部門別に面積算定
そして次に要求部門の構成と、各部門別に要求室面積を確認します。
- 議会部門
- 執行部門
- その他
- 設備

課題文から、その他は公園と関連する室なので1階に配置することになりそうだ、ということが分かるのと、設備室もメンテナンスを考えると1階にあるのが望ましい・・・かも?
ということが想定できます。
そうなると階の構成としては
- 3階:議会部門
- 2階:執行部門
- 1階:その他・設備
もしくは、2階と3階の部門が入れ替わるパターンも考えられそうですが、庁舎の実例的に議会部門は最上階にあるのが自然な形となりますので、スタンダードな形で検討します。

独創的な発想は不要ですので、ネットで実例を見ながら「庁舎といえば」の定番の階構成を勉強しましょう。
といっても、複数件の実例を見るだけで十分と思います。
適宜と書いている室の面積は、特に記載がない場合は10〜20m2くらいで考え、人数が書いている場合は「1.5〜2.0m2/人」、事務室の場合は「5〜10m2/人」で計画するのが一般的なようです。
そんなこんなで部門別の面積を算出します。

事務スペースのある階に、面積適宜の書庫が要求されていましたが、私は20m2くらいで計画しました。
標準解答例では40m2くらいで計画しているので、ちょっと足りなかったかも?
本試験での私の計画は、
- 議決部門:400m2
- 執行部門:1,050m2
- その他・設備:500m2
こんな面積配分になり、合算すると1,950m2。
敷地サイズと免震構造の3mバックを考慮して、間口42m×奥行24m「1,008m2/階」で計画できそうと思い、1,008m2/階×3階=3,024m2
よく廊下係数なんて言われるものがあり、建物最大ボリュームから要求室全部のボリュームを割返して、1.4〜1.7くらいになれば計画しやすい。なんて言われています。

廊下係数を意識するだけで計画がしやすくなります。
建物全体の面積/要求室全部の面積
私の計画では、3,024m2/1,950m2=1.55
1.4〜1.7に収まっているので、窮屈でもなければ無駄に広い感じもなさそうというのが、算定値によって大まかに分かります。
私のエスキス手順③|階の振り分け
ちなみに私は、室面積を書くのがめんどくさいので、要求室の上から順に番号を振って検討していました。

先ほどの計算で、建物に対して要求室の計画がちょうど良さげな感じが分かりましたので、次に階の振り分けを行います。
1フロアで1,008m2のところ、2階に計画している執行部門の面積が超えてしまっているので、1階もしくは3階に部門を跨ぐ計画にする必要がありそうです。
階ごとにも廊下係数を出しておくと振り分けするのに便利です。
1フロアごとに部門を構成するとゾーニングが明瞭ですので、フロアに対して部門の廊下を算定してみます。
- その他・設備:1,008m2/500m2=2.016
- 執行部門:1,008m2/1,050m2=0.96
- 議決部門:1,008m2/400m2=2.52
繰り返しになりますが、廊下係数は1.4〜1.7が計画にはちょうど良い数値です。

この計算によって、執行部門を1階・3階に振り分けて計画しなきゃ納まらないことが分かりました。
私は議決部門との繋がりを考慮して、3階に町長室・副町長室、それに付随して会議室B(小さい方)を配置することにしました。
それでも面積的に2階の面積が溢れてしまうので、事務室を1階にも配置することにしました。
これで階の振り分けが完了し、具体的な計画に進みます。
私のエスキス手順④|マス目を利用して各室を配置

一見すると、ぐっちゃぐちゃ。
廊下係数が1.4〜1.7くらいであれば、室は間違いなく入ることになるので、細かなレイアウトは、ひたすら手を動かしてハマるかどうかを確認します。
私のエスキス手順⑤|1/400に書き直す
①〜④の手順を踏んで、実際に1/400に書き直します。
完成したのがこちら。

これが当日の私のエスキス用紙です。
復元図がこちら
試験終了後に描いた復元図です。


講師による赤ペンチェックはお気になさらず。
私がやってしまった失敗と対策
復元図をご覧いただきお気づきの方もいらっしゃると思いますが、、、結構ミスしています。
- 東側道路の延焼ラインを、道路境界線から描いた
- それに伴い窓は防火設備、ピロティ車庫には防火シャッターを図示
- 東側塔屋、道路斜線制限の2Aかつ35m以内の緩和規定で制限を受けないにも関わらず、塔屋は建築面積の1/10以内とした、と表記。
※上記の緩和規定の数値、正しくは建築面積の1/8以内が正しい。 - 事務室を事務スペースとして計画。
気がついていない小さなミスもあるかと思います。
延焼ラインミスは致命的だと思ったのですが、なんとか合格していました。
2025年の製図試験は例年の本試験より簡単だった?
過去8回の設計製図本試験の受験経験から、例年と比べて今年の本試験課題は簡単な印象で、実際X(旧Twitter)でも「簡単だった」との報告が多数見受けられました。
そうはいっても蓋を開けると合格率は35%でしたので、やはり一級建築士は狭き門ですね。
どんなに簡単と感じても一つのミスは必ずあるはずで、そのたった一つのミスで不合格になってしまうのが一級建築士設計製図試験の怖いところ。
2回目の角番落ちをしたときは、それまでに費やしてきた膨大な時間とお金のことが頭をよぎり、心が完全に折れてしまいました。

お金もかかるし時間がもったいない。
もう一級建築士ムリ。
そう思い、実際に2年ほど試験勉強から離れた時期もあります。
それでも最終的にはもう一度挑戦し、合格することができましたが、今振り返るともっと効率よく学べる環境があれば、ここまで遠回りしなくて済んだのでは、とも感じています。
最近は、スマホでスキマ時間に学習できる教材もあり、働きながらでも継続しやすい環境が整っています。
その一つが「SUTDYing」という学習サービスです。
- まとまった勉強時間が取りづらい方
- 何度も挑戦していて、モチベーションの維持に悩んでいる方
には、こうした学習スタイルも一つの選択肢になると思います。
興味のある方は、こちらから詳細を確認してみてください。
私と同じように製図試験に挑戦している方の参考になればと思い紹介しておきます。
ここまで長々とお付き合いいただきありがとうございました。
この記事をご覧になった皆様が合格することを心よりお祈りしております。
