角番生による一級建築士設計製図~その11 課題分は隅々まで読むべし!

製図初受験の思い出
課題文は隅々まで読むべし!
平成27年設計製図本試験課題
『市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅
(基礎免震構造を採用した建物である。)』
僕が製図試験に初挑戦した時の課題。
今でも忘れる事はありません。
試験開始早々、課題文の『部門・室名・特記事項』に記載されている通りにエスキスを進めていく。
敷地条件は、 北側・東側は道路に面する2面道路。
北側の道路向かいには商店施設が建ち並ぶ歩道付きの幅員18m道路。
東側の道路向かいには集合住宅が建つ歩道のない幅員8m道路。
西側・南側は広い公園に面している角地 の条件。
クライアント(試験元)からはレストランの要求もある。
・公園を望みながら食事を楽しむ
・公園で遊び終えた家族が気軽にレストランを利用
この2点を考慮し、僕は北側の商業施設よりも
公園に面した南西の角 にレストランを配置した。
そうする事で、西側及び南側の公園からアクセスしやすい位置にレストランを配置できる。
1/400まで描き上げるまで2時間15分ほど。時間は少し押し気味だ。
計画の要点は50分くらいで書き上げられるだろうと思ったが
・・・早々に手が止まる。
『基礎免震構造を採用するに当たって、次の①~③の要点を具体的に記述する。』
①建築物に設定した目標耐震性能
②設定した目標耐震性能を達成する為 に上部構造の
構造種別・架構形式・スパン割り及び主要な部材の断面寸法について考慮した事
③設定した目標耐震性能を達成する為に免震層(免震材料の種類と配置の考え方・外周部のクリアランス・エキスパンションジョイントなど)について考慮したこと
ん?設定した目標耐震性能?
要求された室を計画するだけで、耐震性能について
目標を掲げた事も何かを設定した事もありません。
もう一つ手が止まった記述の問いは
・レストラン厨房の排気計画 において、排気ファンの設置位置、その位置とした理由及び排気ダクトのルートの考え方について考慮した事を記述せよ。
これに対して僕の答えはコレだ
『レストラン厨房の排気計画は設備屋さんと協議しながら
適切な排気ファンの位置と、適切な配管ルートを決定した。』
・・・これじゃダメか。
住宅に用いるレンジフードの構造を頭の中で描きながら何とか解答を導き出した。
『油による目詰まりを防止する為、厨房内の外壁面に排気ファンを取付、
極力ダクトの横引きの無い配管ルートで計画した。』
どうせ間違ってるんだろうな。そもそも排気ファンって何よ?
でも、これ以上は考えても分からないから諦めよう。
回答欄に空白は残ったものの失格にはならない。
10問中4問で手が止まってしまい、記述の解答には1時間以上もの時間を費やしてしまった。
時間が無い。
焦る気持ちを抑え、作図前に問題用紙とエスキスの最終チェック。
・・・ん?
『レストラン及びギャラリーについては、商店街との連続性を配慮 するとともに
エントランスホールからの動線を考慮した計画とする。』
思い出していただきたい。
僕は南西側の公園に面してレストランを配置した。
商店街は、北側道路の向こう側。
全くの正反対にレストランを配置してしまった。
こうして初年度の試験はランクⅡ。
そんな重要な一文なら、それぞれの室名の横の特記事項欄に書いてくれよ!
っと問題用紙を破り捨てたくなる気持ちと、
そんな堂々と書いている重要な一文を読み落とすんじゃないよ!
という、自分の情けなさを恨んだ初受験の苦い思い出でした。
記述対策(構造編)
H27年の記述で問われた『建築物に設定した目標耐震性能』についての問いの解答例はこうだ。
国土交通省の定める公共施設等に求められる耐震安全性に対し、
構造体を『Ⅱ類』相当を目標とし、極めて稀に発生する大地震(数百年に一度程度発生する震度6強~震度7)後においても、構造体の大きな補修をする事なく使用でき、
人命の安全確保と機能確保が図られるよう、必要保有水平耐力の割り増しを1.25倍とした。
こんなん教えてもらわなかったら絶対答えられなくない?
構造体Ⅱ類?必要保有水平耐力の割り増し?
なんじゃそりゃ。
試験元のさじ加減に振り回されるこんな試験なんて今年で最後にしたいものだ。
ちなみに記述の時は0.4のシャープ使ってます。
0.5だと太くなるし0.3だとすぐ芯が折れるし。
なので文字を書くときは0.4がオススメ!